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DXは何から始めるか — 最初に決めるべき3つの論点

「うちもDXをやらないとまずい」という危機感は、いまや業種を問わず広がっています。一方で、走り始めてから半年、1年経っても「結局、何が変わったんだっけ」という状態に陥っているケースも少なくありません。

中小企業基盤整備機構や2026年の最新調査では、中小企業のDX導入率は 43%、その中で「成功した」と回答した企業は 21% に留まります。さらに、DX推進に取り組んでいない企業の約 2割 が「何から始めればいいか分からない」と答えています。

違いはどこにあるのか。多くの場合、最初に何を決めるかで決まります。

やってはいけないこと: いきなりツール選定から始める

DXの取り組みで典型的なのが「Salesforceを入れたい」「kintoneを検討している」というツール起点の発想です。ツールはあくまで手段であり、何を変えたいのか、何を測りたいのかが先に来ないと、導入後に誰も使わない仕組みが出来上がります。

経済産業省のDX支援ガイダンスでも、中小企業ではIT人材が不足しがちで、ベンダー主導でツールが先行した結果「思うような課題解決につながらなかった」事例が散見されると指摘されています。

DX成功企業に共通するのは、IT導入前に 業務フローの可視化と不要業務の削減 を行っている点、全社DXではなく一部業務から小さく始めている 点、そして 経営者が具体的な数値目標を設定してDXを推進している 点の3つです。

最初に決めるべき3つの論点

DXで最初に決めるべき3つの論点(業務フローの言語化・対象領域の絞り込み・KPI設定)の優先順位図

1. 業務フローを「人」ではなく「データ」で書く

現状の業務フロー図を引くとき、ほとんどの会社は担当者の動きで描きます。しかしDXで効くのは、どの場面でどんなデータが発生し、どこに蓄積され、誰が判断に使うか を可視化することです。

データの観点で書くと、

  • 入力されているが活用されていないデータ
  • 活用したいが入力されていないデータ
  • 二重・三重入力が発生している場面
  • データが部署をまたぐ瞬間に発生する手作業

こうしたボトルネックが自然に浮かび上がります。これがDXで「効く」対象です。

2. 失敗してもいい領域を1つ選ぶ

全社展開を最初から狙うと、調整コストと意思決定の遅さで動けなくなります。事業の急所ではないが、改善効果が見えやすい領域を1つ 選び、そこで小さく勝つこと。

選ぶ基準は次の3つです。

  • 業務量が多く、改善インパクトがある
  • 既存の業務フローが比較的単純
  • 失敗しても他部署への影響が少ない

社内に「変えると良くなる」という成功体験を作るのが、最初のフェーズの最大の成果物です。これがないと、その後の全社展開は社内合意が取れません。

3. KPIを2つだけ決める

KPIを並べたくなる気持ちは分かりますが、追える指標は多くて2つです。

  • 事業インパクト指標 — 売上、リードタイム、解約率、原価率 など
  • 活動指標 — 入力件数、利用率、エラー件数 など

この2軸で十分意思決定ができます。指標を5つも6つも並べると、どれが本当に動いているのか分からなくなり、結局意思決定が止まります。

ありがちな失敗パターン

DXが止まる理由は、ほぼ4つに集約されます。

  1. 目的を定めずツール選定から入る — 導入後に誰も使わない
  2. 全社展開を最初から狙う — 調整コストで動けない
  3. 業務フローの可視化を飛ばす — 何を変えるべきか見えないまま走る
  4. KPIを並べすぎる — 意思決定が鈍る

これらに共通するのは「先にツール、後で論点」という順序の倒錯です。論点を先に決めれば、必要なツールはほぼ自動的に絞り込めます。

まとめ

DXは「ITプロジェクト」ではなく 「事業の意思決定の質を上げる取り組み」 です。

ツールを買う前に、

  • データの流れで業務を可視化する
  • 失敗してもいい1領域を選ぶ
  • KPIを2つに絞る

この3つを決めることが、その後のすべての判断の土台になります。

「何から始めるか」を整理するところから一緒に動くという選択肢

「DXをやりたいが、何から手をつけるかが決められない」「ツール選定の相談ばかりされて疲れた」 — このフェーズで一番効くのは、業務側の論点を一緒に言語化してくれるパートナーです。

Arintiは、IT事業会社でプロダクト開発や事業推進を経験してきたエンジニアで構成された、DX・開発支援会社です。システムを開発して納品するだけでなく、事業成果の達成まで見据え、事業視点でDX・開発支援 を行っています。実際に開発を行うエンジニア自身が、課題整理・業務設計・技術選定・開発まで一貫して担当することで、事業理解と実装を分断しない開発体制を実現しています。業務DX、システム開発、アプリ開発、データ基盤構築、AI活用、プロダクト開発まで、事業に必要な仕組みを一気通貫で支援します。

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Arintiは、デジタルコンサルティング・DX支援・システム開発を通じて、事業成果にコミットするエンジニアリングパートナーです。課題整理・戦略立案から開発・運用・グロース支援まで、実績豊富なエンジニアが事業の上流から下流まで一貫して伴走します。
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よくある質問

Q. DXは何から始めればいいですか?

ツール選定からではなく、(1)解く課題を業務フローで言語化、(2)対象業務を1つに絞る、(3)追うKPIを2つに絞る、の3点を先に決めるのが基本です。これが決まれば必要なツールはほぼ自動的に絞り込めます。

Q. DXでよくある失敗は何ですか?

「Salesforceを入れたい」「kintoneを検討している」というツール起点で始めて、導入後に誰も使わない仕組みが残るケースが最多です。次に多いのは、全社展開を最初から狙って調整コストで動けなくなるパターンです。

Q. なぜツール選定から始めてはいけないのですか?

ツールは手段であり、何を変えたいか・何を測りたいかが決まっていないと評価軸を持てないためです。業務上の論点とKPIを先に決めれば、選択肢は3〜5個に絞り込めます。

Q. DXのKPIはどう設定すればよいですか?

事業インパクト指標(売上・リードタイム・解約率など)を1つと、活動指標(入力件数・利用率など)を1つ、合計2つに絞ります。指標を5つも6つも並べると意思決定が鈍ります。

Q. 最初に着手する業務領域はどう選びますか?

事業の急所ではないが改善効果が見えやすい領域を1つ選ぶのが基本です。社内に「変えると良くなる」という成功体験を作ることが、その後の全社展開を動かす燃料になります。